【創作】モンブラン

妹:ちょっといい?

姉:お!お義母さんとの初対面はどうだった?

妹:それなんだけど、モンブランを買ってきた

姉:いいじゃん!ケーキ買ってくれていて、ウェルカムじゃん!

妹:よく考えて、このクソ暑い真夏にモンブランだよ

姉:うーん、考えすぎじゃない?みんなでモンブラン食べたんでしょ?

妹:ううん、私だけ

姉:え?旦那とお義母さんは?

妹:ちょ、旦那って(笑)ま、いっか。彼はコーヒーゼリーで、お義母さんはオレンジババロア

姉:あー、そういうかんじかぁ。そのラインナップでモンブランは確かに違和感だわ

妹:だよね!?しかも私、事前に柑橘系が好きだって彼経由で伝えてたの!

姉:なるほどね。事前に伝えていた柑橘系であるババロアをお義母さんが食べた、と。これは世間一般的に言うところの“イビリ”ですね

妹:そう…思う?

姉:そうでしょう

妹:そうだよねぇ、そうなんだけど、お義母さんと話してるうちにだんだん分からなくなってきちゃって。そこを客観的意見を交えて姉とジャッジしたいの

姉:ジャッジって何を?

妹:イビリか天然か

姉:それジャッジしたところで何か変わるの?

妹:変わる!心構えが違う!もう結婚するし、しかも彼の実家近くに住むわけだから、なるべく平穏に過ごしたいの。もしイビリ系義母だとしたら、予防線張ったり対策を練ったりしておきたいの。逆にただの天然ならそういうものと受け止めて、適度な距離でお付き合いしたいの。気持ちの落としどころを見つけたいのよ。最初から不信感満載じゃ幸先思いやられるじゃん

姉:なるほどね。つか、お義父さんはどうした?

妹:今回は正式な挨拶じゃなくて、お義母さんたっての希望で先に会っておきたかったんだって

姉:先に値踏みしておきたい的な?うし!じゃあ、最初から整理しようか。まず旦那はちゃんと柑橘系が好きだってお義母さんに伝えたのかな?

妹:うん、ケーキ振り分けた時「お母さんがババロア食べるの?彼女ちゃん柑橘系が好きだって言ったよね?」って

姉:それでお義母さんの反応は?

妹:「あらやだ、そうだったわね。私ったら。ババロアがあまりにも美味しそうだったからすっかり忘れちゃった。やだもう」って言って、交換しようとしたけど、そんなこと言われたら交換できなくない?

姉:そうね。お義母さんはババロア確定で買ってきたんだもんね

妹:そう、だから断ったよね。そうしたら彼がコーヒーゼリーモンブランを交換しようとしてくれて、モンブランコーヒーゼリーだったらコーヒーゼリーの方がいいかなと思ったらお義母さんが「え、あなたコーヒーゼリー好きでしょ?」って言ってきて、そんなこと言われたらまじで交換できなくない?それでコーヒーゼリーへのルートも遮断されたよね

姉:ねえそれ完全にイビリだよ。全力で阻止しにきてんじゃん。そもそも初めて会う息子の結婚相手の好みを「ババロアが美味しそう」って理由で忘れるかね。設定に無理がある。力技すぎてイビリ系義母なら結構手強そう

妹:だよねー

姉:でも、今後を穏便に過ごそうとするならコーヒーゼリーと交換しなくてよかったんじゃない?

妹:どういう意味?

姉:今の時点でイビリ系か天然系かまだ分からないけど、イビリ系義母だとしたら、イビってんだから交換したら面白くないだろうし、天然系義母だとしても、モンブランは嫌だったんだなって、お義母さんの顔を潰すことになったからさ。角が立つのを回避したってこと

妹:なるほど

姉:続いて、お義母さんのモンブランチョイスについてよ。お義母さんと旦那は涼しい系のケーキなのに妹だけもったり系のケーキ。もうこの時点で私はイビリ確定だと思うよ

妹:うーん

姉:それにさ、モンブランって結構好き嫌い分かれるケーキじゃない?好みを忘れたならせめて無難にショートケーキでしょ

妹:うーん

姉:だいたいさ、フツー客から選ばせるでしょ。そうしない時点でイビリだよ。どう?納得してない顔だね

妹:姉の言う通り整理されるとイビリの線が濃厚なんだけど、会話を思い返すとまだしっくりこないところがあるんだよね

姉:オッケー、じゃあ、どんな話をしたの?

妹:家族構成の話をした。私に姉と弟がいると知ったら「安心した」って言ってた

姉:何が安心?

妹:なんか「お姉さんと長男の弟さんがいるなら安心ね」って

姉:それって中間子である妹を取っても問題ないよねって意味じゃん。なに、こき使おうとしてる?怖い

妹:私もそういう意味だと思ったんだけど、お義母さんの家も同じ家族構成みたいで「何かあったら姉を頼って、弟も年下だけど、長男の自覚があって頼り甲斐がって、中間子だけど、末っ子みたいに甘えて育った」って言ってた

姉:自分と同じ境遇だから安心ってこと?よく分からんな~。あとはどんな話したの?

妹:仕事の話。私が非正規で働いてるって言ったら喜んでた

姉:なんで?

妹:お義母さん家の老犬の世話を頼めるって

姉:なんで妹が他人ん家の犬の世話するの?!

妹:お義母さんまだ現役フルタイムで働いてるから、早く帰れる人に診てもらいたかったんだって。老犬の具合が最近悪くて心配だから

姉:なにか時短勤務のパートと勘違いしてない?非正規でもフルタイムで働いているよね

妹:そう。それは彼が訂正してくれた

姉:向こうの反応は?

妹:「よく分かってなくてごめんなさい」って言ってた。あと「犬の具合が悪いのは夏バテだよ」とも彼が言ってた

姉:昨今の夏に対する意識が低いのか?だからケーキもモンブランを買ってきたのか?やっぱり天然か?

妹:あと彼の幼少期の話をした。「女の子みたいにかわいくて、女の子の恰好をさせてた」って

姉:たまにそういう人いるよね

妹:うん。で、「結婚しちゃうからもう女の子の恰好してもらえない」って残念がってた

姉:ちょっと待って!!幼少期オンリーじゃなくて!?現在進行形で女の子の恰好をさせてたん!??つか、旦那はしてたん!!??

妹:それも彼が訂正してたよ。もともと中性的な顔立ちで、高校と大学で女装してステージに上げられることがあったんだって。お義母さんはそのことを言ってたみた

姉:あ~、学祭のノリね。てか、お義母さんの言い方、誤解を招くな~。イビリとか関係なく、いろいろ心配。ここまでの話をきくとケーキの件が霞んでくるな~。妹の言う通りイビリ系か天然系か分からないね。むしろ私の中では若干天然系に意見が傾きつつある

妹:そうなの、ケーキ以外はイビられてる感じがしなかったの

姉:うーん、あとは何か話した?

妹:お義母さんの会社の話。これが一番よく分かんないよ。お義母さんが「会社で面白いことがあって」って話し出したのね。

休憩中に後輩ちゃんが泣いていたから理由を聞いたら、飼ってた犬が突然死したんだって。それで慰めようと思って、「失った犬の悲しみは新しい犬でしか埋められないよ」って、新しい犬を飼うことをすすめたらしい。そしたら後輩ちゃんはもっと泣いちゃって。そこでちょうど休憩時間が終わったから仕事に戻ったらしい。でも後輩ちゃんが心配だから、その後も事あるごとに「新しい犬を飼った?」って聞きまくったら、スマホの画面を見せられて、そこに犬のぬいぐるみが写っていて『この子を飼うことにしたのでもう大丈夫です!』って一方的に言われたんだって。それで「いや、ぬいぐるみかーい(笑)ってなった」って言ってた

姉:それの何が面白い話…?それって後輩ちゃん、つきまといで病んでぬいぐるみをペットにしたか、つきまといを辞めさせる手段でぬいぐるみを見せたかのどっちかだよね。ペット、いや、急に家族を亡くして悲しんでる人に新しい犬をすすめる神経…。つか、お義母さんも犬飼ってるよね?そういう気持ち分からないのかな?天然通り越してサイコパスに感じる

妹:私も怖いと思った。こんなかんじで初対面は終わった。ねえ、どう思う?

姉:え!以上?いや、正直最後の話に全部持ってかれるな~。最初のモンブランを買ってきたなんて些細なことに感じてしまう。でも、まぁ、今までの話を聞く限りだと、サイコ寄りの天然…かな?全体的に行動も会話も意味不明だけど悪意はなさそうって印象。気持ちの落としどころはどう?

妹:とりあえず、キャラは強烈だけど、悪意がないなら適度な距離を保ちながら節度ある付き合い方をしていこうと思う!

姉:そうか!頑張れ!

 

 

―――1年後

姉:おー、おかえりー

妹:出戻って参りました(笑)

姉:詳しくは聞かんが、お義母さんか?

妹:うん♪悪意がないとかそういう次元の話じゃない。人が嫌がることが分からない時点で無理なのよ\(^o^)/オワタ

 

【創作】20代前半美人OL         S山のブログ『肚の音』 2/2

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M田: おはようございま~す。

S 山: M田さん、おはようございます。今日は日勤ですね。アレ?でも少し早いですね

M田: ん~、道が空いてた

いや、お前ン家、会社の裏手側だから混まねぇだろ。ウソ乙

M田: K下部さんは?

S 山: 銀行です

月曜のこの時間は銀行いっていないって知ってるだろ。白々しい

M田: へえ、所長は?

佐山: リモート会議です。何かありますか?

ホワイトボードに書いてあるだろ。白々しいパート2

M田: いや~、別にぃ。じゃあ、S 山さん一人だ

今知ったみたいに言うな。私と二人きりで話すのが最初から目的だろ。魂胆が見え見えなんだよ。気色悪い

S 山: そうなんです、留守番です!

M田: 最近調子はどう?あれからK下部さんとうまくやれてる?

はいはい、BBAが私に舐めた口きいてきたときの話ね。いつまで気にしてるん?キショ

S 山: はい、おかげさまで

M田: そっかぁ、何かあったら言ってね

S 山: はい、ありがとうございます。

言うかボケ

S 山: そういえば、T口さん、来月の会議に呼ばれるらしいですよ。

こいつ、みんなから嫌われているT口派だって言われてるんだよな。ちょっと掘ってみるか

M田: 例の件ね。いや~、T口さんも看板車背負ってあおり運転は良く無かったよね、さすがに。

S 山: そうですね、よりにもよってタクシードライバーがあおり運転はダメですよね。でも会議に呼ばれた理由、それだけじゃないみたいですよ。T口さんってお客さんからのクレームも多くて、勤務態度も悪いから今回ばかりはクビにあり得るだろうってみんな言ってます。私、転職してきたばかりでそのあたりの事情がよく分からないんですが、T口さんって問題ある人なんですか?

M田: まあ、問題ごとはだいたいT口さん絡みだけど…あの人は自分の意見をはっきり言う人なんだよ

お、T口を擁護する発言。面白いことが聞けるかも。

S 山: そうなんですね。じゃあ、K内さんとのことも?

M田: そうだよ、アレなんてT口さんの方が被害者みたいなもんだよ

S 山: そうなんですか。T口さんがK内さんに掴みかかって喧嘩になったと聞いています

ええやん、ええやん

M田: そもそも喧嘩のきっかけを作ったのは、K内さんだよ。T口さんがK内さんに質問したときに、K内さんはわざとT口さんに聞こえない小さい声で答えて、T口さんは無視されたと勘違いして喧嘩になったんだよ。俺見てたんだよね、K内さんが口パクくらいの小さい声で答えてるところ。それなのにみんな、K内さんはちゃんと答えたのに、T口さんが答え方が気に食わないと急に怒り出したって言ってるんだもん。T口さんは確かにいろいろ問題ある人だけど、なにかあった時に一方的に悪者にされるのは、俺は違うなって思うけどね。

S 山: そうだったんですね。

なるほど、別に弱みを握られているわけではないんだな。以前、K下部も言っていたが、やはりM田は虎の威を借りる狐。自分じゃ何もできないけど、はっきりものを言うT口派についていれば自分も一目置かれると思っている勘違い野郎ってわけだ。だからT口を擁護して少しでもT口の問題行動を軟化させようとしているんだな。だがそもそも人に掴みかかることがダメなんだって。いくら擁護しても暴力の事実は変わらないんだから、こいつバカだな。

M田: 喧嘩と言えば、S 山ちゃんもK下部さんと喧嘩したもんね

またその話かよ。BBAが自分で失くした書類を私のせいにしたから「謝れ」って言ったやつね。せっかくだからドライバー全員にそのことを愚痴って、普段姉御ぶってるBBAの信頼を下げようと、こいつにも話したんだよね。そしたら、しょうもないアドバイスしてきたから、上っ面の感謝を述べたら調子に乗って、何度もその話を蒸し返して私から感謝の言葉を引き出そうとして本当にうぜえな。つか、何気に、ちゃん付け、きもい

S 山: 喧嘩だなんて人聞きの悪い。K下部さんの書類が見当たらなくて、私が見つけたら、私が隠したってK下部さんが冗談っぽく言ったんです。私も聞き流せばよかったのに、強めに違いますと言ってしまって、K下部さんが怒っちゃって。今考えれば、ばつが悪くて冗談を言ったんでしょうに、私も大人気なかったと反省してます

M田: 反省しなくていいよ、K下部さんが悪いし。それから大丈夫なの?

はいはい、心配を装って「アドバイスのおかげで良好です」を引き出そうとしてるわけね。そうだ、この前もBBAにうぜえこと言われたからこいつに愚痴ってドライバー全員に広めてもらおう。BBAの信頼を地底深くまで下げてやる

S 山: んー、実はちょっとあたりが強くて。この前、K下部さんが算出した数字が間違っていたので、教えてあげたら「私は忙しいの!」って怒っちゃって。普通に言っただけなのにあんなに怒るとは思わなくて。こう言ったら失礼だけど、お年じゃないですか。私の母も更年期障害に悩んでいたのでそれだと思うから心配です。

あくまでも心配風にして、理不尽に怒られたことを更年期障害というBBAが発症する障害名を出して「姉御ポジション」から「BBA」だということを社内に広めてやる。

M田: そんなことあったんだ。最悪だね

S 山: どうしたらいいですかね?

M田: 関わらないほうがいいんじゃない?

本当にこいつはクソみたいなことしか言わねえな。同じ事務仕事なんだから関わらないでいられるわけねえだろ。

S 山: …そうですね。なるべく気を付けます。ありがとうございます。

M田: いつでも愚痴きくよ。勤務中だとアレだし、良かったら連絡先教えてよ

こいつ、まじか!!?40代バツイチ独身、養育費払っているお前が、20代で可愛い部類に入る私をイケると思ったってこと!!??きんめええええ!!!!!そんなことより回避しなくちゃ!そうだ!

S 山: 本当ですか!?ありがとうございます。じゃあ、彼氏に聞いてみます。連絡先を交換していいか

男の存在をちらつかせるのが一番だな

M田: S 山さん、彼氏いたんだ。

S 山: そう、最近できたんです

ちゃん付けから「さん」に戻った(笑)

M田: 連絡先交換するのに彼氏の許可がいるの?大丈夫?

大丈夫って何だよ。お前には関係ねえだろ

S 山: 彼氏が言うには私は天然で危なっかしいから確認してから判断すると言われています

M田: 束縛すごいね。窮屈じゃない?

え、何が言いたいの?私から肯定を引き出して、俺にしとけよって話に流れを持っていきたいの?本当にきもい

S 山: え、そうですか?普通ですよ。大事にされているなって思います

架空の彼氏大好きです!

M田: …そうなんだ

S 山: そういえばM木さん、事故っちゃいましたね、心配です

話題変えよう

M田: ガードレールにぶつかったね、居眠りで。本当に余計なことをしてくれたよね

S 山: そうなんですか?車内カメラには何も映ってなかったって。

お、こいつ、M木爺のこと嫌いなのか?面白い話聞けるかも

M田: そう、日除けを下げてカメラに映らないようにしてたからね。何もないまっすぐの道でガードレールにぶつかるなんて居眠りでしょ。そのせいで日除け禁止になっちゃって。そうじゃなくても監視されてるみたいで車内カメラは皆嫌がってたのに。停車中は日除けしていてもグレーだったのに、あのおじいちゃんのせいで、みんな言ってるよ

S 山: そうだったんですね。でも本人にケガがなくて良かったですね

そういうことね。こちとら毎日毎分BBAに監視されてるっつーの。ていうか、こいつやたらと「みんな」を強調するな。自分の意見にどんだけ自信がないの?小心者

M田: …まあ、そうだけど。ところでS 山ちゃんは車好きなの?タクシー会社に入ってきてさ

S 山: 運転は好きですよ。たまに県境まで行くことがあります

え?何?まだ何か話すの?さっさと乗務準備しろよ

M田: へえ、どのへん?

S 山: A県あたりです

だるう

M田: けっこう遠くまで行くんだね。俺も休みの日にA県あたりまで走りに行くよ。いや~S 山ちゃんの運転エピソードもっと聞きたいな。今日仕事終わりにご飯行かない?それなら連絡先交換しなくていいでしょ。俺は休憩時間を合わせるからさ。東通りに美味しいお蕎麦屋さんがあるんだ。

S 山: へえ!そうなんですね!

うそでしょ!うそでしょ!うそでしょ!こいつまだ粘る気なの!!??本当に無理なんだけど!!ここでの「ちゃん付け」切り替え、まじできもい!!架空の彼氏助けてよおおおお!!

M田: そうそう!お酒も呑めるよ。S 山ちゃん呑んでいいよ。帰りは俺が送っていくからさ。

S 山: お蕎麦と言えば、この前彼氏とわんこそばを食べに行ったんです。彼氏200杯も食べたんです!すごくないですか?成人男性の平均が60杯くらいだそうで。でもまあ、身長190センチ、体重100キロの大柄だったらそれくらい食べられますよね。彼氏学生時代からスポーツをしていて、今もジムで鍛えてるんです。いつでも私を守れるようにって。あ、外食の時はメンバーの写真を彼氏に送らないといけなくて、それでもいいですか?心配性のところもすっごく好き!

もうなんでもいい!わんこそば平均何杯とか知らん!彼氏をとにかく屈強にして、私に何かしたら彼氏が黙ってないことを匂わそう!一刻も早くこいつとの話終わらせたい!!

M田: あー、写真はちょっと…

S 山: え~、でも約束は守らないとだし、お蕎麦屋さん行きたいですし。

一ミリも行きたくないけど、会社でのキャラは守らないと!

M田: ん~、今度にしようか。

はい!回避!!

 

++++++

は~、今日のブログの更新終わり!会社の会話を文字起こしして、「肚の音」を書き出すだけで、なかなかの閲覧数稼げるわね。ストレス発散もできて、一石二鳥。最近広告費も入ってきて、最高の副業だわ!

それにしても牧田の思い上がりぶりには参ったね~。40代バツイチ独身、養育費払っている奴が20代の可愛い私をイケると一瞬でも思うことが、勘違いも甚だしいな~。これからは当たり障りのない会話だけして、やり過ごそう。社内情報を得る“駒”はまだ他にもいるし。そっちも好かれ過ぎないように気を付けないとな~。確か「娘ポジション」にうまく入れば恋愛感情を抱きにくいとテレビで言っていたな~。そうしよう。

コメント読もうっと!ええっと、なになに?女子の共感すごいな。みんな会社で苦労してるんだな。あ~、たぶんコレおっさんだわ。「年上に対して失礼」とか言ってきて、本文ちゃんと読んでる?肚の音なんだから、私がどう思おうと勝手だろ。他にもクソコメあるけど、お前も私の閲覧数の肥やしになってるんだよ。まあ丁寧にコメント返しといてやるか。アンチほどコメント返してかまってやればまた来るから、生かさず殺らず広告費の糧となれ。むしろどんどん荒らして、炎上させて、野次馬たちを連れてきて~。

グビッ!ぷはー!今日も酒がうまい!明日もがんばろ♡

 

【創作】20代前半美人OL       S山のブログ『肚の音』 1/2

牧田: おはようございま~す

佐山: 牧田さん、おはようございます。今日は日勤ですね。アレ?でも少し早いですね

牧田: ん~、道が空いてた。日下部さんは?

佐山: 銀行です

牧田: へえ、所長は?

佐山: リモート会議です。何かありますか?

牧田: いや~、別にぃ。じゃあ、佐山さん一人だ

佐山: そうなんです、留守番です!

牧田: 最近調子はどう?あれから日下部さんとうまくやれてる?

佐山: はい、おかげさまで

牧田: そっかぁ、何かあったら言ってね

狭山: はい、ありがとうございます。

佐山: そういえば、谷口さん、来月の会議に呼ばれるらしいですよ

牧田: 例の件ね。いや~、谷口さんも看板車背負ってあおり運転は良く無かったよね、さすがに。

狭山: そうですね、よりにもよってタクシードライバーがあおり運転はダメですよね。でも会議に呼ばれた理由、それだけじゃないみたいですよ。谷口さんってお客さんからのクレームも多くて、勤務態度も悪いから今回はかなりきつめに注意を受けるだろうってみんな言ってます。私、転職してきたばかりで事情がよく分からないんですが、谷口さんって問題ある人なんですか?

牧田: まあ、問題ごとはだいたい谷口さん絡みだけど…あの人は自分の意見をはっきり言う人なんだよ。

佐山: そうなんですね。じゃあ、木内さんとのことも?

牧田: そうだよ、アレなんて谷口さんの方が被害者みたいなもんだよ

佐山: そうなんですか。谷口さんが木内さんに掴みかかって喧嘩になったと聞いています

牧田: そもそも喧嘩のきっかけを作ったのは、木内さんだよ。谷口さんが木内さんに質問したときに、木内さんはわざと谷口さんに聞こえない小さい声で答えて、谷口さんは無視されたと勘違いして喧嘩になったんだよ。俺見てたんだよね、木内さんが口パクくらいの小さい声で答えてるところ。それなのにみんな、木内さんはちゃんと答えたのに、谷口さんが答え方が気に食わないと急に怒り出したって言ってるんだもん。谷口さんは確かにいろいろ問題ある人だけど、なにかあった時に一方的に悪者にされるのは、俺は違うなって思うけどね

狭山: そうだったんですね

牧田: 喧嘩と言えば、佐山ちゃんも喧嘩したもんね

佐山: 喧嘩だなんて人聞きの悪い。日下部さんの書類が見当たらなくて、私が見つけたら、私が隠したって日下部さんが冗談っぽく言ったんです。私も聞き流せばよかったのに、強めに違いますと言ってしまって、日下部さんが怒っちゃって。今考えれば、ばつが悪くて冗談を言ったんでしょうに、私も大人気なかったと反省してます

牧田: 反省しなくていいよ、日下部さんが悪いし。それから大丈夫なの?

佐山: んー、実はちょっとあたりが強くて。この前、日下部さんが算出した数字が間違っていたので、教えてあげたら「私は忙しいの!」って怒っちゃって。普通に言っただけなのにあんなに怒るとは思わなくて。こう言ったら失礼だけど、お年じゃないですか。私の母も更年期障害に悩んでいたのでそれだと思うから心配です

牧田: そんなことあったんだ。最悪だね

佐山: どうしたらいいですかね?

牧田: 関わらないほうがいいんじゃない?

佐山: …そうですね。なるべく気を付けます。ありがとうございます。

牧田: いつでも愚痴きくよ。勤務中だとアレだし、良かったら連絡先教えてよ

佐山: 本当ですか!?ありがとうございます。じゃあ、彼氏に聞いてみます。連絡先を交換していいか

牧田: 佐山さん、彼氏いたんだ。

狭山: そう、最近できたんです

牧田: 連絡先交換するのに彼氏の許可がいるの?大丈夫?

狭山: 彼氏が言うには私は天然で危なっかしいから確認してから判断すると言われています

牧田: 束縛すごいね。窮屈じゃない?

狭山: え、そうですか?普通ですよ。大事にされているなって思います

牧田: …そうなんだ

狭山: そういえば三木さん、事故っちゃいましたね、心配です

牧田: ガードレールにぶつかったね、居眠りで。本当に余計なことをしてくれたよね

狭山: そうなんですか?車内カメラには何も映ってなかったって。

牧田: そう、日除けを下げてカメラに映らないようにしてたからね。何もないまっすぐの道でガードレールにぶつかるなんて居眠りでしょ。そのせいで日除け禁止になっちゃって。そうじゃなくても監視されてるみたいで車内カメラは皆嫌がってたのに。停車中は日除けしていてもグレーだったのに、あのおじいちゃんのせいでって、みんな言ってるよ

狭山: そうだったんですね。でも本人にケガがなくて良かったですね

牧田: …まあ、そうだけど。ところで狭山ちゃんは車好きなの?タクシー会社に入ってきてさ

狭山: 運転は好きですよ。たまに県境まで行くことがあります

牧田: へえ、どのへん?

狭山: A県あたりです

牧田: けっこう遠くまで行くんだね。俺も休みの日にA県あたりまで走りに行くよ。いや~狭山ちゃんの運転エピソードもっと聞きたいな。今日仕事終わりにご飯行かない?それなら連絡先交換しなくていいでしょ。俺は休憩時間を合わせるからさ。東通りに美味しいお蕎麦屋さんがあるんだ

狭山: へえ!そうなんですね!

牧田: そうそう!お酒も呑めるよ。狭山ちゃん呑んでいいよ。帰りは俺が送っていくからさ。

狭山: お蕎麦と言えば、この前彼氏とわんこそばを食べに行ったんです。彼氏200杯も食べたんです!すごくないですか?成人男性の平均が60杯くらいだそうで。でもまあ、身長190センチ、体重100キロの大柄だったらそれくらい食べられますよね。彼氏学生時代からスポーツをしていて、今もジムで鍛えてるんです。いつでも私を守れるようにって。あ、外食の時はメンバーの写真を彼氏に送らないといけなくて、それでもいいですか?心配性のところもすっごく好き!

牧田: あー、写真はちょっと…

狭山: え~、でも約束は守らないとだし、お蕎麦屋さん行きたいですし

牧田: ん~、今度にしようか

 

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【創作】買い物 2/2

 

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武藤:  ほら見て、あの人。また大量に買ってる。

長谷川: はあ、だめなんですか?

武藤:  だめじゃないわ、普通の客ならね。あの人たぶん、転売している

長谷川: 転売って?

武藤:  あら、長谷川さん知らない?人気の商品を大量に仕入れて、欲しい人に高く売りつけるのよ。最近ニュースで話題の。

長谷川: ああ、見ます。あれですね。

武藤:  そうあれよ。いい歳して恥ずかしくないのかしら。私たちと同じくらいか、もっと上よ。

長谷川: まあ、60手前くらいですかね、でも、食べ物を転売ですか?普通に食べるのでは?

武藤:  だとしても買いすぎでしょ。毎回カートの上下に乗せた買い物に溢れんばかりの野菜よ。それにね、なんでもいいわけじゃないみたい。好みの野菜があって、ちゃんと入荷を把握してるのよ。

長谷川: まあ、うちは農家さんの直売店ですから生産者さんの名前が明記してありますし。って、なんであの人が特定の生産者の野菜を買ってるって知ってるんですか?

武藤:  それはレジ打ちのときに見てるからよ。ううん、証拠を掴むために動向を探っているの。

長谷川: はあ。でもやっぱり転売は考えにくくないですか?今や全国どこでもおいしいものが直送されるわけですし。

武藤:  もしかして外国!?仕入れルートの足がつかないように主婦から買い付けているのよ。店長は騙されてる。お得意先さんなんていって。大量に買うことを疑問に思わないのかしらね。本当に目先のことだけというか、何もわかってないわ、あの人。買ってもらえば何でもいいのよ、本当にダメね。

長谷川: でも、大家族なのかもしれないですし。

武藤:  それはない。この前、秋山主任とあの人が話しているところを聞いたの。息子さん同士が同級生らしくて。話によると、三人子供さんがいらして、今は全員独立して、家には夫婦二人暮らしだそうよ。

長谷川: そんなことまで、盗み聞き…げふん、聞こえたんですか?

武藤:  私ね、長期的な犯行ではないかと睨んでいるのよ。あの気難しい秋山主任が親し気に。いくら息子同士が同級生とは言え、心を許しすぎてる気がするの。きっと秋山主任の警戒心の高さを見越して、うまく懐に潜り込み、大量買いを怪しまれないようにしているんだわ。

長谷川: え、息子同士が同級生で仲がいいなら、そういう関係になるんじゃないないですか?うちも娘の部活が一緒のお母さんとは仲良くなりますよ。

武藤:  そこよ!秋山主任の立場を知ったうえで近づいたのよ。息子が仲良くなって初めて秋山主任の立場を知ったのか、知って近づいたのかまでは分からないけど、転売という言葉が流行る前から時間をかけて調査の目をかいくぐってきた、その線が濃厚ね。

長谷川: 濃厚って。想像力豊かすぎませんか?

武藤:  あの秋山主任でさえ、油断してる。こうなったら私たちがしっかりしなくちゃね。

長谷川: しっかりって?

武藤:  しっぽを掴むのよ。外国に転売している証拠をつかんで、反省してもらわなきゃ。いずれは私たちも罪に問われる可能性もあるのよ

長谷川: どうしてですか?

武藤:  そんな人に売って、気づかなかったのか?現場は何をしていたんだ?店の信用がガタ落ちだってね

長谷川: どうやって証拠を見つけるんですか?

武藤:  大丈夫、私よく、警察や弁護士のドラマ見ているから、きっとしっぽを出すわ。辛抱が肝心なの。それにいろんなスーパーで買っている目撃情報もあるの。警察の目を欺くために、買い付け先を分散しているんだわ

長谷川: 売り出し日が違うから、誰でもいろんなスーパーで買い物するのでは?

武藤:  それでね、この前、とっておきの情報を掴んだのよ。A店でね、クレームを入れて、店長を恫喝して、枝豆を箱でせしめたのよ。箱でよ、信じられる?

長谷川: なんですか、その話。

武藤:  本当よ。私のお友達がそのスーパーに勤めていて、クレームの対応をしたんだから、間違いないわ。そのスーパーでもしょっちゅう大量買いしていて、お友達ともよくその話をしていたの。それでちょうどお友達が対応することになって、まさかジャガイモにクレームをつけると思わなかったみたいで、動揺していたら、店長が来て、店長がおわびにって、枝豆の箱を渡したんだって。すごい手腕じゃない?

長谷川: どこが恫喝?

武藤:  いやね、長谷川さん、一見笑顔のほうが人は怖いものよ。感情が読めない恐怖で献上品を差し出してしまったんだわ。ほらみて!長谷川さん!今度はとうもろこしを大量に買ってる!しかも手に取ってニヤニヤしてる!きっと転売の売上を皮算用をしているに違いないわ!

長谷川: 確かに口角が上がっているようには見えますけど、皮算用だなんて。っていうか、いつも監視してるんですか?店長に怒られません?

武藤:  もちろん、仕事はちゃんとしてるわ。なんだかあの人が来ると気配でわかるのよ。なんてというのかしら、気配でデカいの。振り向くと、案の定買い物してるのよ。

長谷川: そもそも論ですが、ご自身で食べてる可能性はないですか?私も別のスーパーで買い物したときに、あのお客様がお肉を大量買いしているのを見ましたけど、知り合いの方と話してらして、「ここのお肉美味しいですよね」って言ってましたよ。全部食べるとは考えにくいですけど、やっぱり食べてるんですよ。ふくよかでいらっしゃいますし。

武藤:  あら、長谷川さんもしっかり調査してるのね。頼もしいわ。そこなのよ。追及しても自分で食べてますよ、言い逃れができるように太っているんだわ。

長谷川: 武藤さんって本当にすごいですね

武藤:  あとちょっとのところまで来ている気がするの。ああ、決定的な証拠が欲しいわ。そうだ!お会計のときそれとなく聞いてみる。自白があれば、言い逃れはできないもの。そうと決まれば行くわね!

長谷川: え!ちょっと!行っちゃった…これは秋山主任に相談だな、いろんな意味で。

ーーーー

武藤: 今日も大量に買われるんですね。まるでどこかに売ってるみたい

明子: え、ああ、支払いはしてもらっていますね、みんな喜んでますよ

武藤: !!!

 

明子:(食材代はもらっているし)

武藤:(あっけなく白状した!御用だ!!)

 

【創作】友情 2/2

 

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↓↓↓↓つづき

 

結人: おー、お前ら、こんなところで何してん?

弘明: 結人おおおおお!!!!(胸倉をひっつかんで力任せに前後に揺さぶる)てんめええええ!!!今すぐ瞬に謝れ!!心の底から瞬に謝れえええ!!俺は親友としての過ちを謝ったぞ!!あと俺にも謝れえええええ!!!(目が血走っている)

結人: えっ!!?ちょっ!!何!!?

弘明: ちょっと何じゃねええええ!!謝れよ!!!瞬と俺に!!!!

結人: ゲホゲホッ、謝る?お前らに?(喉を押さえながら)

弘明: そうだっ!!

結人: なんでお前らに謝るんだよ

弘明: うるせえええ!!!俺はともかく瞬には謝れ!!!

結人: 瞬?あ、アレか、ごめん☆

弘明: そんなんで許されるかああああ!!!!心の底から謝れ!!土下座しろ!!頭が地面にのめり込むくらいまで謝れええええ!!

結人: なんなんだよ、弘明、お前今日おかしーぞ。アレだろ?いつものぷりんだろ?

弘明: そうだ!!!でも今日はいつもと違う!!俺は真実を知ってしまったんだ!ぷりんは彼女のことなんだよ!!

結人: そうだよ

弘明: お前、知っていたのか!?

結人: 知ってるも何も、お前が最初にぷりんって言って仲裁してきたじゃん。最初はよく分からなかったけど、俺が瞬から盗るもんってそれしかないからな。なんでお前がぷりんって毎回言ってるのは不明だったけど。お前、何も知らずに仲裁してたの?今まで?十年近く?

弘明: ぐぬぬ

結人: あー、だからあんな気軽に仲裁してきたんだ。「ぷりん盗られたくらいで喧嘩は止そうぜ。俺らの仲じゃんか、瞬も俺に免じて結人を許してやってくれ」だっけか?

弘明: やああああめええええろおおおおお!!!そのことはもうすでにさっき瞬に謝ったんだ!!俺は!!ってゆうか結人、お前、モテないからって瞬の彼女ばかり盗って恥ずかしくないのか!?

結人: 俺モテるよ。彼女途切れたことねーし

弘明: うそだ!

結人: うそじゃねーって。なあ、瞬。

弘明: なんで瞬に聞くんだ!俺ですら知らないのに瞬がそんなこと知るわけないだろ!瞬も言ってやれ!変なフリ寄越すなって!

瞬:  知ってる。結人宛ての手紙を何回も届けた。

弘明: は?

結人: 直接告ってくる子もいれば、瞬経由でラブレターを渡す子もいたんだよ

弘明: なんだよそれ!俺それ知らねーんだけど!

結人: 仲介を頼まれなかったからだろ

弘明: なんで俺に仲介を頼まないんだよ。

結人: 女子から嫌われてたからだろ

弘明: え、俺、女子から嫌われてたの?

結人: そうだよ。お前、無意識でアレをやってたわけ?すごいな。

弘明: アレってなんだよ。

結人: お前、高校のときによく瞬と女子が話してるところを「散った散ったあ」って割って入ってたろ。アレだよ。

弘明: あれは瞬が困ってたから助けたんだよ。なあ、瞬。

瞬:  コクリ

結人: 瞬はな。話しかけてた女子の中には瞬目当ての子もいたんだよ。女子視点から考えてみろ。一生懸命に好きな奴に話しかけたのに、追い払われたら嫌いになるだろう。

弘明: そうだったのか。俺は瞬をからかっているのかと思って、助けようとして割って入っただけなのに。なんで教えてくれなかったんだよお

結人: 瞬に頼まれて知っててやってるのかと思ったんだよ。まさか知らないでやっていたとはね。そもそも瞬が自分で対処すればよかったんだよ。

瞬:  なんかぐいぐい話しかけれて怖く何も言えなかった。弘明には感謝してる。

弘明: おお、瞬んん。でも俺には言ってほしかったあ

瞬:  ごめん

結人: 話は逸れたが、だから俺はモテてたんだよ

弘明: はっ!じゃあなんで瞬の彼女を盗るんだよ!

結人: ん~、気まぐれ☆なんちゃって☆

弘明: ふざけんな!そんなんで許されると思うなよ! 瞬も何か言ってやれ!彼女盗られたんだぞ!

瞬:  もう慣れた

弘明: 慣れんなああああ!!!

結人: ケラケラ

瞬:  無

 

ーーーーーー

弘明: 大声出しすぎて頭痛くなってきたあ。本当に俺の知っている瞬と結人か?俺が過ごしてきた青春が急に幻な気がしてきたよ。俺たちいつから道を違ったのか…。だんご三兄弟と噂され、ずっと一緒、ずっと同じだと思っていたのに…

結人: だんご三兄弟って言いだしたの俺らだよ

瞬:  結人

弘明: え、ずっと一緒にいる俺らを見て周りが言い出したんじゃないのか?

結人: いや、実は…

瞬:  結人!

弘明: なんだ!まだ俺に何か隠していることがあるんだな!?教えてくれ!この際だから全部!

結人: だって、瞬。

瞬:  …コクリ

結人: そもそも俺らずっと一緒にはいるけど、同じだったことなんて一度もねーよ

弘明: いや、中学のときクラスのマドンナの白鳥さんのことを三人同時に好きなって告白しに行ったろ。少なくともあのときくらまでは同じだったんじゃないのか。

結人: あ~、あれはお前が白鳥さんのことを好きだって言うから調子づかせて告白する流れにしたんだよ。んでノリで付いて行っただけ。

弘明: うそだろ?だって三人で。瞬、お前もか!?
瞬:  そうだったのか

結人: え、お前今更何に気づいたの?

瞬:  弘明が白鳥さんのことを好きで告白しに行くのを見守るために付いて行った。まさか俺も白鳥さんに告白したことにされていたなんて。

弘明: いや、お前それはおかしーだろ。お前も白鳥さんの事を好きだって言ったろ

瞬:  白鳥さんは優しいから人として好きだった

弘明: おいおい、あの場で俺の白鳥さんへの恋心をさんざん聞いておいて人間として好きってなんだよ。いくら俺らが親友でも、あの場で人としての好意と恋心との判別つくわけねーじゃん。ふん!でもお前らがどう思っていようと結局は三人とも振られたわけだ

結人: そうなんだけど、白鳥さんは瞬の事が好きだったよ

弘明: いやいや、いいって、そういうの。現に振られてるんだから無理がある

結人: 正確には俺と瞬のBL設定で受け役の瞬が好きだったんだよ

弘明: びー、える?

結人: そこからか。BLとは「ボーイズラブ」の略称で、要は男同士の恋愛のことな。

弘明: え!お前らそういう…!

結人: いいから聞けって。男同士の恋愛が好きなそういう思考の人がいて、本や漫画、最近ではドラマもあるんだよ。その中の一つに仲の良い男子をみると、妄想して楽しむ人がいるんだよ。俺の周りでは女子が多かったな。

弘明: へぇ、え!じゃあ、俺も(照)

結人: まあまあ、順を追って話すから。んで、白鳥さんは俺と瞬が恋愛してる設定で、瞬が受け役、要は女役だな。その瞬が好きだったってことだよ。

弘明: な、なるほど。でも白鳥さんは瞬のことが好きだったんだろ。じゃあ、なんで振るんだよ

結人: いや、全然わかってねえじゃん。俺と恋仲かつ女役の設定の瞬が好きだから。ん~まあ強めのファンだな。アニメのキャラ好きでも付き合えないだろ?そんなかんじ。

弘明: お~う

結人: よく分かんねえか。俺も最初聞いたときよく分からなかったし。今でも正直よくわからん。んで、本題のだんご三兄弟の件だが、俺と瞬のBLファンが結構いて、その中の一部に気性の荒い奴らで変な呼び方が流行ったから、俺らで別の噂を流して中和したってわけ。

弘明: よく分からなかったけど、お前らも大変だったんだな。勝手に恋仲にさせられたあげく、変な呼び名まで。ちなみに何て呼ばれてたんだ?

結人: 明暗…

瞬:  結人!

結人: 瞬よお、ここまで話して真実を伝えない方が弘明にとって酷だよ。傷つくのは一瞬よ。

瞬:  …コクリ

結人: 明暗美顔メンズと視界に入る目障りなハエ

弘明: え…はえ?俺のこと…?

結人: まあ、そうなるな

弘明: なんでえ!俺なんかした!?

結人: 気性の荒いファンに何かしたんじゃね?

弘明: 全く心当たりない!お前らと一緒にいたのが目障りだったってことかよ。なんだよそれ、理不尽だよ。今後、どんな顔して同窓会行けばいいんだよお(泣)

結人: 同窓会行く気なんだ。意外とメンタル強いな。ちなみにだんご三兄弟の案は瞬だぜ。瞬、お前、ぷりんとか食べ物だっかりだな。

瞬:  …

弘明: そ、そうか、この話はかなりきついぜ。まあ、聞いたのは俺だもんな。自業自得だな、他に俺に隠し事はないか

瞬:  小学生の時、俺が道端で拾ったチョコを結人に奪われそうになった話、アレは道で拾ったんじゃなくて2組の佐藤さんからバレンタインデーで貰ったやつなんだ。

結人: そんなこともあったな、つーか、今更そんなカミングアウト弱えって(笑)一連の流れで弘明に耐性ついたろ。

弘明: そうだったのか…。Orz。あの頃から俺らは違ったんだな。せめて小学生の思い出は一緒だと思っていたのに。お前ら本当に俺と青春を共にした瞬と結人だよな?なんか俺の知らない事実が多すぎて一気に老けた気がする。同じ青春を過ごしても見る角度によって全く別物になるんだな

結人: なあ、もう帰ろうぜ、腹減ったし。

弘明: そうだな。惣菜でも買って…

瞬:  結人、なんで今まで彼女を盗ったんだ

結人: どうした急に

瞬:  色々カミングアウトした今、そのこともはっきりさせたい。

弘明: そ、そうだったな、そうだな。結人、なんでなんだ。

結人: あー、俺らの友情を誰にも邪魔されたくなかったんだよ

瞬:  結人…、そうだったのか

弘明: お前、結人

結人: 照れくさくて言えなくてごめんな。これで晴れて俺たちの友情も


再確認できて、より強固になったな!これからもよろしくな!

瞬:  コクリ

弘明: おう!ってなるかー!!色々納得できんー!!!!

                               完

【創作】買い物 1/2

 

明子: はい、お邪魔しますよ

千佳: いらっしゃい。いつもありがとうね

明子: いいのよ、好きでしていることだから。はいこれ、今回の作り置き惣菜ね。

千佳: わあ、こんなにたくさん。私の好きなお母さんのお煮しめがある!から揚げも!お浸しも!作るの大変だったでしょ

明子: わっきゃないわよ。週末になる度に正一は帰ってくるし、それに奈知の家の分も作らなきゃだから、どうせ作るなら手間は一緒だもん。

千佳: 就職した息子と、嫁いだ娘たちの家の食事の世話まで本当に頭が下がります。

明子: 正一はこちらの安否確認も兼ねてだからね。奈知の家は小さい子供もいて、共働きでしょ。それで毎日の食事の用意なんて手が回らないわよ。こうして作って宅配便で送ってやれば少しは手助けになるでしょ

千佳: 少しどころじゃないよ。大助かりだよ。家計を考えながら買い物して、メニュー考えて、作ってって本当に大変だもん。お母さん、三世帯分を一人で作ってるんだね。ありがとうね。そうだ、はい、今回の分。

明子: あら、こんなに、悪いわね。

千佳: 作ってもらってるんだもん。食材代くらい払わせてよ。

明子: そお?じゃあ、有難く頂戴するわね。これでまた何か作ろうかしらね。そうだ!会員制大型スーパーで甘いものでも買おうかしら♪

千佳: あ~、お母さん、作ってもらっておいて、こんなこと言うのは気が引けるけど、甘いものは控えたほうが良くない?また太っちゃうよ。今後の健康のためにも痩せたほうがいいんじゃない?

明子: そうよね~。大して食べてないのに太ってるのよ~。野菜だって摂ってるし、便通もいいし~

千佳: そうなん?でもそんなに太っているのは食べているからだと思うよ。いくら更年期の運動不足でもそこまで太らないよ。ちなみに何を食べているの?

明子: 朝だってパンとミルクティーだけなのよ。

千佳: 本当に?

明子: そうよ。パンに半熟の目玉焼きと、カリカリベーコンと、レタスを挟んで、ディップソースを塗って食べてるの。あと、お昼の番組で紹介していたカッテージチーズが美味しそうだったからお取り寄せして、それも添えてるかな。あと健康のためにはちみつをティースプーンに10杯舐めてる。本当にそれくらい。

千佳: はちみつを10杯!?それでミルクティーも飲んでるんでしょ!?つか、パンのボリューム!その上、カッテージチーズ!食べ過ぎだって!

明子: そうかしら?野菜だって食べてるのに?

千佳: パンに挟んだレタス程度じゃ、摂ってるとは言わないよ!想像以上にやばい食生活してる。それならさ、運動したら?独身の頃、社会人サークルでダンスしてたんだよね?また始めたら?

明子: 今更無理よ。衣装も入らないし。

千佳: いや、衣装はいいでしょ。まずは踊れば。

明子: 形から入るタイプだから衣装は大事よ

千佳: じゃあ、お父さんと二人で歩いたら?そういう夫婦よく見るよ

明子: いやよ。お父さん小言が多くて。フォームがどうとか、腕を振れとか、ペースがどうとか言うにきまってる

千佳: あ~言いそう。じゃあさ、近所にヨガスタジオできたじゃん。ヨガはそんなにつらくないよ。

明子: 今更新しいこと始めるのは抵抗があるわ。

お母さんも瘦せなきゃなって思ってるの。お母さんの希望としては、運動はしたくないの。この年で運動してケガでもしたら一生もんでしょ。あと食事も変えたくないの。今は食事くらいしか日々の愉しみがないの。要は今の生活を変えずに痩せたいの。そんな方法をずっと模索しているの

千佳: ねーよ。

 

ーーーー

明子: そうそう、この前ね、スーパーでお肉を大量に買ってたら、隣のおばさんに「ええ!こんなに食べるの!?」って叫ばれて。もう急に言われたもんだからこっちもびっくりしっちゃって。「はい、ここのお肉美味しいですよね」って言っちゃった。後から考えたら私一人で全部食べると思われちゃったよね。やだ~もう。

千佳: まあ、その体型でお肉を大量購入してたから、つい口をついて出ちゃったんだろうね、そのおばさんも。それでお母さんも叫ばれて動揺しちゃって肯定しちゃったんだ。

明子: そうなのよ~。全然食べてないのに~

千佳: まあ、そのお肉に関しては三世帯分だから食べてないけど、「全然食べてない」ことはないよ、さっきの朝食からして。

明子: え~

千佳: っていうかさ、他人がどれだけ買おうが、食べようが関係ないでしょ。そもそもさ、なんでおばさんってゼロ距離で話掛けるんだろうね。すみません、とか、ちょっとよろしいでしょうかとかないよね。身内位の距離間でさ。

明子: あら、やっぱりいきなり話しかけるのはまずいのね。

千佳: ええ、お母さんもやってるの?

明子: そんなしょっちゅうじゃないの。この前ね、直売店で大量にとうもろこしを買う人がいて、こんなに買うんですかって聞いたの。そしたら、この品種が美味しくて県外からわざわざ買いに来てるのよって教えてくれたのよ。試しに買ってみたら甘くておいしかったの。だから入荷する度にうちも大量に買うようになったのよ。奈知の家にも送ったら孫ちゃんたちが大喜びだって言うから、買うたびに孫ちゃんたちの笑顔を思うと、私もつい顔がほころんじゃってね。

千佳: ほころんじゃってね。じゃないのよ。「こんなに買うんですか」って「こんなに食べるの」って聞いてるのと同じじゃん。

明子: 違うわよ。私は疑問形で、この前の人は絶叫系。

千佳: いや、趣旨は同じだって言ってんの。

明子: そうそう!その直売店でね、いつものようにお会計したら、レジした人が正一の高校生の時のお友達のお母さんだったのよ!最初に声を掛けられたときは全然分からなくて、サッカー部のって言われてやっとピンときてね、本当にびっくりしちゃった。いつもはバックヤードで働いてるけど、その日はたまたまレジ打ちだったんだって。ずっと買い物に行ってたのに初めてよ。それにしても最後に会ったのは10年前よ。息子同士は仲良しだったけど、お母さんとは特別仲が良かったわけではないのに、わかるものなのね~。

千佳: ん~、なんかお母さんって目立つんだよね。

明子: え、私が?眼鏡かけた太ったおばさんなんてそこらへんにいるじゃない。

千佳: ん~、目立つっていうか気配がでかい。学生のとき授業業参観でさ、前見ててもお母さんが来たのすぐにわかったもん。

明子: え~、なにそれ~。

千佳: 自分で思っている以上にお母さんは目立つから悪いことできないよ~。いつどこでだれが見ているか分からないからね。

明子: 悪いことと言われて、ちょっと心配なことがあるわ。隣町のスーパーでジャガイモを一箱買ったのよ。家に帰って開けたら結構の数傷んでて、少しくらいなら分かるけど、あまりにも多くて、もう一度ジャガイモの箱を持ってお店に行ったのよ。品物を交換してほしくて。でね、対応してくれた女の人がちょっと要領を得ない方で、ダメともいいとも言わず、オロオロしていて、困っていたら、ちょうど店長さんが来て、「お得意先さんだから」ってすぐに交換対応してくれて、お詫びにその日のセール品だった枝豆を一箱貰ったのよ

千佳: 何が悪いことなの?

明子: なんかクレームつけてセールの枝豆をせしめたみたいじゃない?

千佳: 店長がくれたんだからいいんじゃない?店長に顔を覚えられるほど、そのスーパーでも大量買いしてるんだから、それは好意として受け取っていいと思うよ。

明子: そうかしら。そして、それがこの枝豆です!

千佳: これか!助かる~

明子: うふふ

 

↓↓つづき

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【創作】友情 1/2

弘明: やっぱりここにいたか(土手)

瞬:  …おう

弘明: どうした。結人と喧嘩でもしたか?(瞬の隣に腰を下ろす)

瞬:  結人はなんて?

弘明: きいていない。てか、きけてない。いつも昼過ぎまで寝てるアイツが朝から出かけてお前がここにいるってことは、そういうことだろ?

瞬:  …(無言で川の流れを見てる)

弘明: やっぱりな

瞬:  よく分かったな

弘明: 解るさ、俺たちどれだけ長い付き合いだと思ってるんだよ。幼稚園から始まり、小中高大ついには会社も同じときたもんだ。腐れ縁なんて言葉じゃ足りないくらい強固な絆で結ばれちまってんだ俺たちは。どうせ結ばれるならツンデレ美少女がよかっ    たよ、なんつってな。神様も野郎三人なんて酷なことをすんだな。で、今日はどうした、またぷりんか?

瞬:  ああ、そうだ。またぷりんだ。

弘明: だはー!いい歳こいてお前ら本当にしょうもねえな。ぷりん盗られたくらいで喧嘩なんかして。そういえば、小学生の頃瞬が道で拾ったチョコを結人が欲しがって奪い合いの喧嘩になったよな。俺が仲裁してさ。そうだそうだ、奪い合いといえば、中学の時さ、クラスのマドンナの白鳥さんのことを三人とも好きになっちまって、三人同時に告白してキレーに三人振られたよな。それが噂になってか知らねえけど、俺らその後、影でだんご三兄弟なんて呼ばれてたらしいぜ。お前は無口、結人はお調子者、俺はツッコミでキャラ立ちしてたもんな。で、高校入っても三人仲良くつるんでさ。そういえば、高校の時、お前と結人は俺のいないときに限ってよく女子に絡まれていたよな。結人は適当にあしらってたみたいだけど、お前は図体でかいわりに小心者だからその度に俺がよく助けてたよな。大学入ってそれぞれのプライベートの時間が増えたが定期的にお前からぷりんの相談があって、俺が仲裁して三人で呑んで、なんやかんや同じ会社に入社をきっかけにシェアハウスだもんな。こんなんだから俺ら三人未だに彼女できねーんだよな!

瞬:  俺、彼女いるよ(ボソ)

弘明: えっ!!?ま!!?きいてなっ!!はっ!!ぶねー、騙されるところだった~、お前でもそういう冗談言うんだな。マジでビビったわ。社会に出てそういうコミュニケーションを学んだんだな。いや~、ツッコミに磨きがかかりますわ~。そうだ、来週の会議だけど…

瞬:  俺、彼女いるよ(ぼそ)

弘明: …まじなの?

瞬:  まじだけど?

弘明: 俺知らなんだけど。

瞬:  …?

弘明: どういうことだよ!!説明しろ!!

瞬:  告白されたから付き合った

弘明: 無口で無愛想なお前がか!?告白される!?付き合う!!?つーか、情報量少なすぎてなりゆきとか相手の子の様子とか全然わかんねー!けど、情報量少なすぎて心に響く衝撃がスゲー!!お前を好きになる子ってどんな子なんだ~!きになるううう

瞬:  滝沢さん

弘明: えっ!!同期の受付の滝沢さんか!!?創立史上一番の美人と噂される滝沢さんか!!?

瞬:  コクリ

弘明: ええええええ!!!お前なにしたんだよ!!滝沢さんの弱みでも握ったか!?

瞬:  荷物運ぶのを手伝った

弘明: そんなことで!?ちょろすぎだろおお!!!俺でもできるうううう!!!   羨ましいいいい!!!はっ!!つい心の声が漏れてしまった!親友の初彼女だ!おめでとう!その…付き合ってどれくらいなんだ?

瞬:  一週間

弘明: そ、そうか。もう、そのー、チューとかしたのか…?

瞬:  してない。もう彼女じゃない。それと初カノじゃない。

弘明: え?はっ!!え!!ちょっと待って、何を言っているか本当に分からん。滝沢さんは彼女だろ!?

瞬:  彼女だった

弘明: 別れたのか?

瞬:  うん

弘明: 振ったのか?

瞬:  振られた

弘明: そ、そうか…、一週間足らずで…、恋愛とはそういうものなのか?

瞬:  わかんない

弘明: そうだよな、お前も初めてだもんな…いやっ!!!初めてじゃねーじゃん!! お前さっきのくだりでさらっと初カノじゃないって言ったじゃん!!どういうことだよ!俺聞いてねーんだけど!!

瞬:  言った

弘明: 嘘つくんじゃねーよ!俺はお前の50メートル走の最速タイムっていうどうでもいいことまで覚えている親友だぞ!彼女ができたなんて最重要情報を聞いて忘れるわけねーだろ!親友をなめんな!

瞬:  言った

弘明: てめ!怒るぞ!いつだよ!?

瞬:  中二の秋に初カノに振られて落ち込んでるときに弘明に励ましてもらった。

弘明: え??中二の秋??!

瞬:  あの時もここでふさぎ込んでる俺を一番に見つけて励ましてくれた。でもなんて言っていいか分からなくて黙ってる俺に親友として受け止めてくれるって、それで…

弘明: ちょっと待った!確かに中二の秋にお前を慰めたことは覚えてる。でもあれは結人にぷりんを盗られたって話だろ。確か黙ってるお前に「話したくなければ例え話にしたら親友として俺が真意を受け止める」って言ったんだ。それでお前が絞り出すように結人にぷりんを盗られたって言ったんだよ。で、なんだぷりんか~ってなって、お前と結人を仲直りさせたんだよ。

瞬:  そう

弘明: そう、じゃねーよ!意味わかんねーよ

瞬:  だからぷりんに例えた

弘明: へ?

瞬:  初カノをぷりんに例えて結人に盗られたって言った

弘明: ええええええええ~~~!!!!!!!ぷりんって彼女のことだったの!!!??中二の秋に初カノ!!!?っっつか!!結人に盗られた!!!!??

瞬:  コクリ

弘明: え~と、かなり困惑してる、俺いま。状況を整理させてくれ。お前は、中二の秋に、初カノを、結人に、盗られたってことか!!?
瞬:  コクリ

弘明: のえええええ~~!そうとも知らずに俺はお前らの仲を取り持ったってことか!?

瞬:  解っていて仲直りさせてくれたのかと思った

弘明: 解ってねーよ!いや、例え話にして真意を受け止めるって言ったの俺か!お前よくあんな気軽な仲裁で仲直りできたな!?

瞬:  最初は落ち込んだけど、彼女ってよくわかんなかったし、

    弘明の言葉を聞いてそんな程度のものかなって思った。

弘明: 彼女はそんな程度のものじゃねえって!!まさか彼女をぷりんに例えるとは思わねえじゃん!ぷりんごとき食われて喧嘩したことが恥ずかしくて言いづらかったのかと思うじゃんか。普段お前、何も気にしてませんみたいな顔して生きてる奴でもそういう可愛い一面があるのかと思ったんだよおおおお!おいおい(泣)なんかもう、本当にごめんんんん!!(泣)はっ!じゃあ、ちょっと待て、中三の夏のぷりんも!?

瞬:  コクリ

弘明: 高一の文化祭後のぷりんも!?

瞬:  コクリ

弘明: 高二の夏合宿中のぷりんも!?

瞬:  コクリ

弘明: 高三の修学旅行前のぷりんも!?

瞬:  コクリ

弘明: 大学時代のすべてのぷりんも!!?

瞬:  コクリ

弘明: まじで~~~~!!お前めちゃくちゃモテてたじゃんんんん!(泣)じゃなくて、親友なのに気づけなくてごめんんんん(泣)今更だけど本当にごめんなあ。そうじゃなくても、お前は今滝沢さんに振られて落ち込んでるっていうのにいい(泣)えちょっと待て、お前は冒頭で結人にぷりん盗られたって落ち込んでたんだよな。で、ぷりんは彼女のことで、今回の彼女は受付の滝沢さんのことで、つーことは、例え話で本質がぼかされてしまったけど、お前は受付の滝沢さん含め過去すべての彼女を結人に盗られたってことか!?
瞬:  コクリ

弘明: なんじゃああああ、あいつうううううう!!!結人のやろおおおおおお!!!!

 

↓↓つづき

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